合同会社は出資者を社員と呼びます。出資した人が責任を負うことになります。その合同会社の社員は会社員や従業員とは意味合いが異なりますので注意してください。そこで誰を社員にするのか、つまり誰が出資するのかを決めなければなりません。一人で設立する場合は特に悩むことはありませんが、家族で設立したい場合などは検討する事項があります。

マネーフォワード編集画面

合同会社には3つの社員がある

その3つとは

代表社員 (合同会社を代表する社員)

業務執行社員 (合同会社の業務を行う社員)

社員 (合同会社に出資した社員)

です。一人一役であれば分かりやすいのですが、一人がその役を複数持ったり、その役の人が複数存在することができたりして少々分かりにくいです。社員が何人いるかで場合分けをすると少し理解が深まります。

ちなみに代表社員と業務執行社員は合同会社の登記簿に氏名や住所が記載されます。

社員一人の場合

社員は一人であれば、特に定めなくても、オートで業務執行社員になります。そして業務執行社員は他にいないので、必然的に代表社員となるという仕組みです。この場合は冒頭の通り、一人の社員の名前が合同会社の登記簿に記載されることになります。

  Aさん
代表社員
業務執行社員
社員

 

社員二人以上の場合

社員が2人以上の場合にはいくつかパターンが存在します。あとで変更する場合は余計な費用が発生するので、しっかりと理解して決めましょう。

 

パターン1

パターン2

パターン3

 

Aさん

Bさん

Aさん

Bさん

Aさん

Bさん

代表社員

×

×

業務執行社員

×

社員

パターン1

原則社員は代表社員と業務執行社員の両方の権限を持っています。言い換えると、社員は「代表権」と「業務執行権」を持っているわけです。なのでこの後説明する定款(ていかん)に何も定めないと、パターン1になるわけです。

一般的な考えで言うと不自然な気がしますが、合同会社の場合、代表社員は複数名存在しても良いとされています。それぞれの代表社員が印鑑を届け出ていると、それぞれの決定権で好き勝手できてしまいます。対外的にも代表が複数いるのは代表同士の意見が異なる場合など混乱しますし、トラブルの元になりそうなのでやめておいた方が良さそうですね。

パターン2

そこでパターン2のようにすれば、重要な契約など、対外的な行為をすることができる権限を一人にすることができます。パターン1よりも無難かもしれません。業務の執行は2人(もしくは2人以上)で行うが、その中でも決定権のある代表をあらかじめ決めておこうというパターンですね。逆に決めなければパターン1になってしまいます。

パターン3

パターン3は特定の社員の業務執行権と、代表権を無くしてしまうパターンです。私たちもこちらのパターンを選択しました。理由は以下の通りです。

ママ 主婦(パート) → Aさん

パパ 副業禁止の社畜 → Bさん

である場合において、家族で経営できる会社を作りたい場合はパターン3にしなければなりません。パパは会社に出資するだけで経営に参加しない社員としたいからです。そうすれば登記簿にも名前が載らないため、誰かに知られることはありません。この場合はママを業務執行社員、および代表社員にすることで可能になります。定款には以下のように第2章で全ての社員を記し、第3章で業務執行社員と代表社員を定めればOKです。これも後に紹介するクラウド上のソフトで設定するだけで、簡単に定款を作ってくれるので心配無用です。

定款の例

第2章 社員及び出資
 (社員の氏名、住所、出資及び責任)
 第○条 社員の氏名、住所及び出資の価額並びに責任は次のとおりである。
  金〇〇万円 住所〇〇
   有限責任社員 ママ
  金〇〇万円 住所〇〇
   有限責任社員 パパ

第3章 業務執行権及び代表権
 (業務執行の権利義務)
 第○条 当会社の業務執行社員は、次のとおりとする。
  業務執行社員 ママ
  (代表社員)
 第○条 業務執行社員が2名以上ある場合は、そのうち1名以上を代表社員とし、業務執行社員の互選をもって、これを定める。
  2 業務執行社員が1名の場合は、当該業務執行社員を代表社員とする。

不要な社員を無闇に入れない

合同会社は出資金が1円でもOKです。しかし、運営に関する意思決定は出資金の額にかかわらず、原則過半数の同意が必要です。無闇やたらに社員を増やして同意を得られないなんてことにならないよう、最低限の人数で運営すべきです。合同会社は小回りがきき、意思決定が早くできることがメリットですので、よく考えて社員を決めなければいけませんね。